キハ2004号は、1966(昭和41)年、北海道の留萠(るもい)鉄道の最新鋭のディーゼルカーとして登場しました。

 旧国鉄で同時期に製造されていた北海道用キハ22に準じた設計で、違いといえば、汽笛が屋根上に2つあり、一方で二重窓やトイレが省略された程度でした。

 留萠鉄道は、筑豊の鉄道と同じく石炭輸送を目的とした鉄道でしたが、沿線の炭鉱が次々と閉山され、1969(昭和44)年4月に運行を休止、2年後には廃止されました。
まだ新車同然であったキハ2004号は、留萠鉄道の他の4両とともに、茨城県の茨城交通に譲渡されました。

 茨城交通では他の北海道の炭鉱鉄道から移籍してきたディーゼルカーたちとともに主力して活躍し、平成20年に同社が第3セクター化され、ひたちなか海浜鉄道となった後も、引き続き使用されましたが、老朽化により平成27年、新型車両に置き換えられ、引退しました。
引退前には、旧国鉄のキハ55系に似ていることから、1960年代の旧国鉄準急色に塗り替えられ、鉄道ファンの人気を集めました。

 一方その頃、平成筑豊鉄道の活性化のため、平成筑豊鉄道にゆかりのある鉄道愛好家が中心となって、旧国鉄形ディーゼルカーを保存できないかと、JR九州や他の鉄道会社に打診していましたが、時すでに遅く、ほとんどの車両は解体されていました。

 そんな折、旧国鉄形ディーゼルカーによく似た、ひたちなか海浜鉄道キハ2004号の引退を知り、「キハ2004号を守る会」を結成、クラウドファンディングで輸送費用等約800万円を集め、ひたちなか海浜鉄道からの無償譲渡を実現させ、2016(平成28)年10月に金田駅に搬入されました。

 その後、「キハ2004号を守る会」が中心となって整備作業を行い、2017(平成29)年11月より、平成筑豊鉄道の主催のもと、「キハ2004号を守る会」と共同で、年に数回、運転体験を実施しております。

 デジタル制御の最新型車両とは異なり、旧国鉄形のディーゼルカーと同様、前後進の切換え、ギヤの切換え、ブレーキなどが、空気圧や油圧で制御されるアナログな機構で、特にブレーキ操作について、難易度の高い運転体験を楽しむことができます。

                             

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