開業時からの100形・200形・300形の老朽化に伴い、国・福岡県・沿線9市町村などの支援により、新型車両400形「なのはな号」を2007(平成19)年から導入しました。

 鉄道車両メーカーも再編がすすみ、開業時の車両を製作した富士重工業はすでに鉄道車両の製造から撤退しており、国内ディーゼルカーメーカーのもう一方の雄であった新潟鐵工所を承継した新潟トランシス製の車両を導入することになりました。

 全国の第三セクター鉄道も期待以上の健闘が続き、各社開業時車両の置き換えが必要となるなか、新潟トランシスのNDC(同社のローカル線用ディーゼルカー)も長足の進化を遂げていました。

 車体は全長18mの鉄道車両構造で、乗降扉は引戸とし、床面を下げてステップの段差を小さくすることで、車いすスロープの取り付けが可能となりました。また扉の開閉時にはチャイムが鳴動し、バリアフリーに対応しました。車内はワンマン運転時の旅客流動を考慮し、クロスシートを点対称で配置したセミロングシート(登場時)とし、車端に車いすスペースを設けました。客室窓は大型の固定窓とし、眺望の改善、車内の静粛化と保守の省力化を実現しています。冷房能力も増強され、吹き出しをラインフロー化、横流ファンの併用で快適性が向上しました。

 台車はまくらばりを省略したボルスタレス台車となり、軽量化が図られる一方、車輪は一般的な860mm径となりました。エンジンは330PSにパワーアップ。冷房の使用時でも十分な出力を確保しています。ブレーキは応答性に優れた電気指令式を採用、ディーゼルカー特有の変速操作もCCS(Converter Control System=液体変速機の制御システム)が車速を検知し、変速1段直結2段の自動切換を行います。運転台はワンハンドルマスコンとなり、電車のようなシンプルなものとなりました。またTICS(Train Information Control System=列車情報制御システム)の導入により、運転台のタッチパネル式ディスプレイでサービス機器の制御や故障情報表示が可能となり、表示灯やスイッチ類の省略、引き通し線の大幅な減少を実現しました。車内放送も車輪の回転数から演算して自動化され、行先表示器、運賃表示器、整理券発行器との連動が図られました。これらはワンマン運転の支援、保守の省力化、コストダウンにつながっています。

 開業以来のフルモデルチェンジにあたり、車体の外装デザインを一般公募し、沿線に春を告げる「菜の花」をイメージした温かみのある黄色をベースに、豊かな自然を表す「水・緑・空」の3本ラインをリボンに見立て、車体を包んだシンプルなデザインとし、愛称名「なのはな号」も一般公募により決定しました。

 

 

 

主要諸元・従来車との比較

1次車

 401~403号車の3両が導入されましたが、401号車・402号車は、2019(平成31)年に「ことこと列車」に改造され、現在、403号車も「スーパーハッピー号」となっていますので、1次車の「なのはな号」はありません。

 403号車は、2020(令和2)年に、ラッシュ時対策として、ボックスシートを撤去し、ロングシート改造されています。


2次車

 404・405号車が、500形501号車と同時に導入されました。1次車からの変更点は、①車内ミラーの変更。②運賃箱の開く角度を拡大。③防護無線のデジタル化。➃避難はしごを搭載し、貫通路に取り付けできるようにした点です。②・③・➃については1次車も改良されました。

 404・405号車は、2020(令和2)年に、ラッシュ時対策として、ボックスシートを撤去し、ロングシート改造されました。

404号車

2008(平成20年)2月23日運行開始


「赤村村制130周年記念号」となった404号車

2019(令和元)年7月27日
~11月


405号車

2008(平成20)年2月23日運行開始


3次車

 406~408号車の3両で、408号車は導入当初から「ちくまる号(ブルー)」で、407号車は2018(平成30)年11月以降、3代目~4代目「マクセル号」のラッピング車となっているため、現在、「なのはな号」は406号車のみとなっています。

 3次車の変更点としては、①車外ミラーに防曇(曇り止め)装置がついた。②扉挟み防止のための再開閉機能がついた。③運行状況記録装置がついた点です。③については1次車も改良されました。

 408号車は、2012(平成24)年に、406・407号車は、2020(令和2)年に、ラッシュ時対策として、ボックスシートを撤去し、ロングシート改造されました。

406号車

2008(平成20)年12月20日運行開始


 

4次車・5次車

 4次車は、409~411号車の3両が導入されましたが、導入時から409号車は「ゆめタウン号」、410号車は「炭都物語号」、411号車は「ちくまる号(グリーン)」とすべてがラッピング車でした。現在は、409号車がラッピングを解除して、「なのはな号」に、410号車は「つながる号」に、411号車は「ちくまるLINEスタンプ号」にそれぞれ変わっています。

 4次車の変更点として、運転台のマスコンハンドル等が変更されています。

 4次車に続く5次車、412号車は、導入時から開業時カラーをまとっています。

 410・411号車は、2012(平成24)年に、409・412号車は、2020(令和2)年に、ラッシュ時対策として、ボックスシートを撤去し、ロングシート車に改造されました。

409号車

2009(平成21)年12月14日運行開始


「ゆめタウン号」時代の409号車

2009(平成21)年12月14日
~2017(平成29)年9月

 総合スーパー「ゆめタウン行橋」が行う社会貢献活動の一環で、地域の足を守る当社に対し、車両スポンサーとしてご支援いただくこととなりました。導入にあたっては、ゆめタウン行橋店にて車体デザインの一般募集を行い決定しました。
「ゆめタウンカラー」のピンクをベースに地元行橋市の市花である「コスモス」が車体いっぱいに咲くデザインで活躍しました。

インテリア


セミロングシートの車内(登場時)

台車・エンジン

NF01ED ボルスタレス空気ばね台車

コマツ SA6D125HE-2エンジン